2020年1月24日金曜日

Kindle Unlimited! 武士道



Kindle Unlimitedは、無料だけど、あまり良い本がないな、、、と思っていたら間違っていました。

出版後、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語をはじめとして、17カ国語に瞬く間に訳され、セオドア・ローズベルト大統領が、60冊買って知人に配りまくったというこの本、間違いなく名著です。




武士道 (PHP文庫)


最初はとっつきにくかったのですが、今の時代の私が読むと、色々感じることがありました。

書評はきっとごまんとあるとおもうので、そうではなく、、、現代にどう活用できるか考えたいと思います。

■今の時代に武士道なんて
恐らく今の日本人には「武士道」を意識している人はほとんどいないのではないでしょうか。

新渡戸稲造をみると、マギー司朗師匠をどうしても思い出してしまうくらいです。

■この本が書かれた経緯
軽く説明すると、

新渡戸稲造が、ベルギーの著名な法学者ド・ラヴレー氏の家に招かれ、散歩の著中で宗教の話が出てきたようです。

ラ「日本の学校では宗教教育がない、とおっしゃるのですか」

新「ありません」

ラ「宗教教育がない!それはあなたがたはどのようにして道徳教育を授けるのですか」

付け加えると、新渡戸はラヴレー氏を尊敬していたらしいです。

■自分ごととして考える
自分の尊敬する海外の知り合いに、同じ質問をされたら?宗教なしで、どうやって道徳を教えるのか。

これは現代でも答えに詰まりそうです。
さあ、どう答えようか考えてみましょうか。

1.「宗教教育はありませんが道徳教育ならちゃんと授業であります、、、」と現代の教育課程を伝える
→一応道徳は教えられているけど、具体的になにをやっているか、と聞かれると辛いですね。そういえば、道徳って何習ってたっけ?

2.「道徳を宗教から教えるって問題ないっすかね、違う宗教の人はどうなるんすかね」と、相手に逆質問。
→尊敬する人には言えないですよね、、、


3.「周りの人々が結構ルール守っているひとが多くて。親とか周りを見ているからでしょうか。」と祖先からの伝統を引き継いでいるような感じで答える
→これも、具体的になにか?と聞かれると答えられないです。

そう、現代でも、道徳教育を具体的に言い表せないのです。

■どうやって私達は道徳を手に入れたのか
一応、小学校で道徳は習いました。
でも、小学校の頃の何時間かの道徳教育だけで、全日本人が、阪神淡路大震災時に、整然と整列して物資配給を受けられるでしょうか。

親や周りの人をみて育つだけで、東日本大震災で略奪行為が各地で起きないようにできるでしょうか。

これは説明が付きません。

それとも、何の教育も受けていない人が、宗教教育を受けた人よりも、非常時でも整列できるほど自制心が高く、略奪行為をしない、など周りの迷惑を考えることが出来るのでしょうか。

それも考えにくいですね。

つまり、日本人は、説明がつかないけど、なぜか自制心があって、周りの迷惑を考えられているのです。

■そこで『武士道』
新渡戸稲造は、日本人に、海外の方とのコミュニケーション時に、強力な「武器」を用意してくれたのです。

それは『武士道』

日本人はいいもの持ってるのに、日本人は海外の方に、それを説明する手段がない状態でした。

しかし今や、日本人は「武士道」を見てくれた海外の方と、胸を張って会話出来ます。

例え私たちが腹切りしなくても、海外の方に、「日本人が礼儀正しいのは、根底にみんな武士道の心があるからなのです」と言うと、羨ましがられるでしょう。(その後の質問責めには準備が必要ですが)

その助っ人は、世界中に広まり、「bushidoすごい!」と思ってもらえるほどの物。これを使わない手はありません。

■私達の『武士道』活用法
外国の方からの質問を想定してみます。

道徳はどうやって学んだのか
→日本には武士道の精神があり、そこから道徳的なものを得ている

その武士道はどうやって学んだのか
→特に文書からは学んでいないし、存在していない。それは、英国憲法も文書化されていないことと似ている。複数の概念、例えば仏教や神道、儒教などがある。

武士道のことが分からない。どう理解すれば良いのか
→一言でいうなら「高き身分の者に伴う義務」(ノーブレス・オブリージュ※)だ。


※もう少し分かりやすく表現するならば、「高い地位や財産・権力をもつ者には、それ相応の義務が伴う」というもの。

初めて聞いたときにはよくわかりませんでした。

実際の例でいうと、貴族の子弟は真っ先に兵士に志願する、らしいです。

なぜ、いい生活をしてて、何不自由なく過ごせる貴族が、死ぬことのある兵士に志願するのか。

『特権を持っている人は、特権を持っていない人々への義務によって成り立っている』

という考え方があるようです。

外国では、貴族しかもっていない考え方を、武士道をもつ日本人には、全員が持っている。

これは、当時、まだ世界からみたら小国の日本が、国際化する中で外国人とコミュニケーションをとる際、日本人には心強かったでしょう。

■今から見直す「武士道」
昔は、世界について出て行くなかの日本人の為にもなった本書。

でも、高齢化社会で景気が下がると言われ、中国に抜かれ、今後はインドや東南アジア諸国も力をつけてきている現代の日本では、もう一度「武士道」をもとに、自分を見つめ直し、自分の良さを知ることで、海外と戦っていけるのではないでしょうか。