2022年3月6日日曜日

AIは「人間」と同様になるのではなく、「人間」の役に立つものになる

 

AIに関する様々な開発がされています。

AIのために、人間がやっている今の仕事が無くなるとか、人間が働かなくても良くなるとかも言われています。

その中で、AIが
「人間のように振る舞うことができる」
もあると思います。

最近、AIを題材にしたシナリオのゲームを作っているのですが、AIが人間と会話するシーンを書いているとき、気になることがありました。

人間の会話を聞いて、より良いアドバイスをしたり、逆に相手を騙してお金を巻き上げようとしたりするAIを登場させています。


最初は、会話だけの情報なので、ありきたりな返答しかできませんが、相手の交友関係や生体情報、収入、性格などが手に入ると、どんどん正確な回答が出せるようになります。

ちゃんと作れば、人間のためになる、素晴らしい能力を持つAIになりますが、
悪意のある人が作れば、相手の心理状態、経済状態、交友関係などを巧みに使い
人間を思う通りに操る能力を持つAIもできそうです。

ここで思いました。


AIって、人のための道具でしかない


「何かしたい」と思ったとき、それを実現してくれるのがAI

AI自身は考えることができない。

いや、突き詰めれば、人間が「AIって自分で考えてる!」と振舞えるほどのAIは作れると思う。

でも、それすら、作った人間が「そう振舞うように」作ったに過ぎない



人間の心って結構ホルモンに支配されている

このことが頭にずっと引っかかっていて。

この対談では、清水氏がこうおっしゃっています。

人間って上等な気持ちでいたけれど、上等な気持ちになるような意識が追認的に働いてるだけであって、実際には昆虫と変わらないような行動原理で動いている。「お腹空いたな」とか「眠いな」とか、そんなんで動いてんじゃないかな、というような実感があります。

※清水氏は日本ではAI開発の最先端を行き、「天才プログラマー」として若くから
Microsoftやドワンゴなどの一流企業に努めつつ、
子供向けのプログラミング教育にも熱心である多彩な方、

よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ は、IT知識が無くてもわかりやすく読めるよう構成されていて、ただ脱帽するばかりです。。。


人間は、生物として必要なこととして、以下になることが知られています。

「空腹」
→「食べ物を探す・もしくは狩る」
→「活動しないといけない!」
→「アドレナリン出して、一時的に空腹感を減らして攻撃的に!」

この感覚は、機械であるAIにはもっていないものです。
これと限りなく同じようにふるまうようなプログラムや機械学習はできるかもしれませんが、単に人間の模倣なだけで、実際に空腹になるわけでもなく、攻撃的になるわけでもありません。そう振舞うだけです。

もう、ここまでくると、AIに人間と同じにように振舞わせる意味がない。

まあ、どこかの傍若無人な大統領と同じ考え方のできるAIを作れば、
「どうやったら戦争をやめてくれるか」の試みを、そのAIにさせることもできますが、、、
「ある人と同じ考えを持つ」AIとなると、
限りなく同じ環境を作らないといけないので難しい。
一卵性双生児であっても、まったく同じ考えや動きができないのと同様ですね。。。


多少のずれがあっても問題なければ需要はありそうですが、
それ以外、あまり人間に似せる意味が見いだせないです。

それよりも、人間より早く判断したり、より良い手・作戦を出してくれたほうが
よっぽど有益です。


でも、人間と対話する、という状況次第では、AIは今後とても活躍できそうな分野もあります。

それは

人間のやる気を出させること

です。

「AIは人間の心も知らないくせに、人間のやる気を出せるわけない」

と思う方、もっともです。

どちらかというと、人間の心に、それほど深く入るつもりはありません。

影響力の武器」の中で、ロバート・B・チャルディー二氏が見つけたのは、
生物が驚くほど「機械的に」物事を判断することです。


例えば、ヒナ鳥の鳴き声を聞くと母親は世話を始める、といったもので
これがおもちゃのヒナ鳥に録音させた音声を流しても、母親は世話を始めます。

これを聞くと「なんて鳥はバカなんだ」と思うかもしれませんが、
チャルディー二氏はそう思いません。
人間にも同じような行動をとることがわかったからです。

最近アリゾナにジュエリーの店を開いた友人から相談の電話がかかってきました。
店長は最近の売上に悩んでいました。
「なかなか売れない」
そこで思い切って以下の指示を店員に伝えます。
「トルコ石を半値で売っちゃって」
しかし、聞き間違えた店員は、2倍の値段で売り始めてしまっていました。
しかし、数日後には全ての宝石が売れたということです。
一体何故なのか。
「値段が高いものは価値があるはずだ」
そう思ったお客さんは、店の物すべてが魅力的に思ったことでしょう。

他にも、以下のことがわかってきました。
どれも身近に感じることです。

1.人から親切もしくは譲歩されたら、「お返ししないといけない」心理が働く。
2.一度決めたら、その決定が正しいと思い込みたくなる
3.みんながやっていることは正しいことだ
4.好きな人のことは正しいと思ってしまう
5.数が少ないということは価値があることだと思う



AIが、例えば自分の好きなキャラで現れ、何か有益な情報を人間に提供して、

AI「これって、一つ貸しだぞっ」

と、言ってくれたら、AIだとわかっていても、何かしてあげたくなるかもしれません。


AIはこのような回答と、その後の人間の返答、その後の行動について統計とっていけば

チェスや将棋のように、機械学習で、「最も効果のある」回答内容を見つけることができるかもしれない。

これを利用して、悪いことももちろんできます。
でも、人間の心をコントロールできるのであれば、
やる気を出させることも可能だと思います。

今後のAIは、人間が必要な情報の提供、もしくは、人間がやっていたことの代替作業 がメインになってくると思いますが、それも行きつくと、人の役に立つような、人間の心理に影響を及ぼす分野への進出も考えられました。

例えば、以下のようなものです。
・やる気が出ないときに「効く」アドバイスをくれる
・自閉症で悩んでいる人に対して最適な回答を出し続け、復帰を促す
・お年寄りの話し相手になって、ボケ防止に役立つ

「人の役に立つ」ことは、人の原動力の一つにもなるのですが、
それすらもAIが進出してくると思うと複雑な気持ちではありますが、
全体として考えると、人間世界がより良いものになるのではないかと思われました。