先日、遠方wに住む父から「朝は普通に使えていたのに、急にインターネットができなくなった」と連絡がありました。
すぐに駆けつけられない距離。電話越しに状況を聞き出し、原因を特定して解決に導く……。まさにエンジニアとしての腕が試される「遠隔トラブルシューティング」の始まりです。
結果から言うと、原因は拍子抜けするほど単純なものでしたが、そこに辿り着くまでには「実家サポート特有の罠」が潜んでいました。
罠1:「スマホは使える」という証言の盲点
まず状況を切り分けるため、父に「スマホでネットは見られる?」と確認しました。
返ってきたのは「スマホは普通に使えるよ」という力強い言葉。
ここで私は、「親機(ルーター)や回線自体は生きている。パソコン側の個別の問題だな」と推測しました。……が、これこそが最初の罠です。
スマホは、Wi-Fiが死んでいても「4G/5G(携帯回線)」で繋がってしまいます。
親世代にとって「ネットが繋がる」という状態はひとつ。それがWi-Fiなのか、キャリアの電波なのかを区別していないケースが非常に多いのです。「スマホが繋がる=家のWi-Fiが正常」という証明にはならない。この意識が、遠隔サポートでは生死を分けます。
罠2:「いつもと違う」を見逃さない
次に、パソコン画面の右下にあるネットワークアイコンを確認してもらいました。
「いつもの扇形のマーク(Wi-Fi)が出ている?」と聞くと、返ってきた答えは「見たこともない『地球儀』みたいなマークになっている」とのこと。
Windowsユーザーにはお馴染みの、インターネット未接続を示すあのマークです。
さらにその場所をクリックしてもらうと、画面には非情なメッセージが出ていました。
「Wi-Fiがオフです」
原因が確定した瞬間でした。ルーターの故障でも、回線の切断でもなく、パソコン自身のWi-Fi機能が眠っていただけだったのです。
### 罠3:「知らないうちに」が起きるキーボードの魔法
対応は簡単でした。
1. 右下の「地球マーク」をクリック
2. 「Wi-Fi」のボタンをポチッと押してオンにする
3. 自宅のネットワーク名を選んで接続
これだけで、実家のネット世界は無事に復旧しました。
しかし、なぜ勝手にオフになったのか? おそらく、キーボードの「Fn(ファンクション)キー」と「Wi-Fiマークの付いたキー」を無意識に同時押ししてしまったのでしょう。
ノートパソコンには物理的に通信を遮断する「飛行機モード」や「Wi-Fiオンオフ」のショートカットが存在します。本人にその気がなくても、掃除中や入力ミスで「魔法」はかかってしまうのです。
遠隔サポートで大事だと思ったこと
今回、改めて痛感したのは「事実の切り分け」をいかに丁寧に行うかという重要性です。
家族が相手だと、どうしても
* 本人の説明が主観的(「何もしてないのに壊れた」など)
* 専門用語が噛み合わない
* 「スマホが繋がるから回線は大丈夫」という思い込み
といった壁にぶつかります。確認を一つずつ、できれば「言葉」ではなく「アイコンの形」や「画面の色」といった、目に見える事実ベースで進めるのが解決への近道だと再認識しました。
もし、皆さんのご実家から「ネットが繋がらない!」とSOSが来たら、まずはルーターを疑う前に「右下に地球儀が出ていないか」をチェックしてもらうことをおすすめします。
意外と、世界を救う(ネットを直す)のは、ボタンひとつかもしれません。

