2019年6月21日金曜日

モーツァルト新曲をAIで作ることの意味

開成高校の生徒とプロクリエイターの協業で行われた以下の試み


「このプロジェクトを通して、若者にテクノロジーを正しく理解してほしい」

この心意気も素晴らしい。

私自身も、子供に「AI」と呼ばれてゆくものについて、理解し、活用してもらいたいと思い、いろいろ調べているので、参考になる試みでした。

「モーツァルトらしい楽曲の特徴を捉えた新曲」と銘打っているので

プロジェクトの皆さんはご存じの上で作曲されていると思いますが

タイトルだけご覧になった方が誤解するかな、と思いました。

今回作られた曲は、モーツァルト本人は決して作らないでしょう。

■当時ならではのインプットがもう無い

モーツァルトはパトロンになかなか巡り会えなかったため、お金に苦労して、それを解決するため、懸命になっていました。


また、3日後に演奏会を開いて新作交響曲を披露しないといけない、などの制約条件もあり、そのときにできあがるものは多種多様になります。
今回作成された曲は、そのような背景、インプットが無いです。何のために作らあくまでモーツァルト「っぽい」の曲になります。

■最終的なモーツァルト自身の判断が無い

恐らく過去の曲を学習データとして利用していると思いますが、

それらのデータをどう学習するかによって、アウトプットは千差万別です。
良いと思う曲もあれば、よくわからない曲も出来ると思います。
そんなとき、重要なのは、なにを採用するか、です。
モーツァルト自身も、作曲するなかで、幾つものパターンが思い浮かんだと思います。その中で最適と思われるものを、当時の自分の感性で組み上げたものと思われます。
今回の高校生たちも、幾つかの曲を「AI 」によって作成されたと思いますが、

そのいくつかの曲の中で、何が良いのか、を選ぶ必要があり、

最終的には人の判断が必要になります。

何を判断の基準にしたのでしょうか。

今回選びあげた曲は、他の曲と比べて、なにを基準に「良い」として選んだのでしょう。

決してモーツァルトを超える曲は作れません。

以前の記事で取り上げましたが
AIを「Artificial Intelligence」ではなく、人間の知性を拡張する「Augmented Intelligence」すなわち「拡張知能」と呼ぶべき
ということで、高校生たちが、モーツァルトの力を借りて、素晴らしい曲を作り上げる、そのために今回の技術を使えたのであれば、今回のプロジェクトは成功といえるでしょう。

囲碁や将棋のように「勝つ」ためのAIは、その効果が一目瞭然で、機械に軍配があがりますが

今回の様に「良い物を作る」となると、人間とAIの協業作業が必須です。

まとめ

今回の高校生たちの試みは、「機会学習の活用」という意味で有意義と思います。

今後も若い世代が積極的に「AI」を使って、「AI」を活用できればよいですね。


気になったこと

、、、文学だったら、シェークスピアの文章を学ばせて、「AI」で「シェークスピアっぽい作品」ができたら、面白いでしょうか。。。。そのままだと面白くない気がします。

しかし、プロの作家が、自動生成された文章をもとに、文章を作り上げた、とするとみてみたい気がします。