を読みました。
もっと早く読めばよかった。
本を見る前は、オードリー氏のことを「台湾でコロナ封じ込め作戦をうまくやった人」位にしか知らなかったのですが、私が知りたかったことが沢山書かれていました。
何かというと
世の中をいかに良くするか
です。
オードリー氏は、私から見ると「天才」の人ですが、新しい公共サービスを提供する際「どうやったら、マイノリティの人々にも受け入れられるか」を考えられているのです。
天才は、凡人の心など知ろうとしないし、そうする必要もないと思っていたので、これは意外でした。
また、自身も高齢者と身近に触れ合えるよう、定期的な集まりを開催し、そこで高齢者の意見を聞いて、今後のサービス開発に活かそうとされています。
これだけだと、社会福祉に興味のある人、だけなのですが、
オードリー氏がすごいのは、中学時点で大学教授とメールで研究のやり取りをしたり、中学校長に「学ぶことは自分でできる」ということで、退学依頼を出したり、ベンチャー企業を興したり、オープンソースに貢献したり、座り込みしているデモ隊にコンタクトをとり、要求をまとめ、国に提出する仲介役を買って出たり、、、と枚挙にいとまがないのですが、個人的に心に残ったのが
p56
AIと人間の関係は、ドラえもんとのび太のようなもの
です。
なにが心に残ったか。それは、私ののび太に対する考え方が、やっと整理できたからです。
なにが整理できてなかったのか。
それは、なぜ、藤子不二雄が、あんな最低の「のび太」を登場人物として出したのかが分からなかったからです。
はっきり言って、私はのび太がキライでした。
ドラえもんにひみつ道具を借りると、最初はいい使い方をしていたとしても、途中からズルをして、周りの人に迷惑をかける。自分の都合、楽しみ、楽さだけを考え、好きなことをやりまくります。
最後はドラえもんや周りの人に注意され、バツを受ける、といった流れが多い印象です。
まじかるタルるートくんはご存知でしょうか。江川達也氏の子供向け漫画で有名です。
私のかすかな記憶だと、江川氏は、
「主人公の江戸城本丸君は、のび太のアンチテーゼだ。」
と言われた気が。
タルるートくんの魔法があっても、それに依存せず、自分の力を高めるために努力する本丸君をみて、「自分も頑張らないと」と思いました。これを聞いて、私ののび太に対する気持ちが決まったと思います。
のび太は相変わらず自分が楽をしようとして、自分を高めようとしない。常に楽をしようしています。
くだらない人間だ
と考えていました。
ドラえもんは好きなのに、くだらないのび太を見たくない
そんな葛藤がありました。
だれもこんなことで葛藤しないと思いますが、自分にとっては重要な問題でした。
しかし、オードリー氏の本で考え方が変わりました。
ドラえもんの役割は、のび太くんがやりたくないことをさせたりのび太君に何かを命令して実行させることでは決してありません。逆にドラえもんがいるからと言ってのび太くんが自分の代わりにドラえもんに山登りをさせて自分は行かないということになるわけではありません。またのび太くんが勉強や外出が不要になるわけでもありませんのび太くんを成長させるのがドラえもんの目的であるはずです。
改めて、オードリー氏がまとめてくれると、ドラえもんの読み方が変わります。
もう一つの章を紹介する必要がありした。
デジタル社会の発展にはインクルージョンの力が欠かせない
です。
情報格差デジタルディバイドを埋めるためには何か一つ二つだけを行えば良いということではありません。誰も置き去りにしないインクルージョンの力を確保しなければならないのです。そしてインクルージョンが確立された後は持続可能性さらには環境という二つの価値観を確立するべきです。
簡単に言うと
便利な機能、サービスが出たとき、みんなが使えて幸せになるような方法を考えないといけない
かな。
のび太を、知能が低い一般人、としましょう。以下の特徴があるとします。
・難しいことは考えたくないし考えたくもない。
・なるべく楽をしたい。自分で努力しない
新しく出た、国、民間サービスは、最初はよく分からず、使わない。
しかし、知っている人に分かりやすく教えてもらえれば、使えるようになる。
しかし、その悪用方法を思いつき、色々やってしまう。
みんなから怒られる。
そんなことは、現実世界でも起こり得ます。
そんなときどうするでしょう。
どうしようかみんな考えないといけません。
のび太を責めても仕方ありません。 サービスを提供したとき、そのような使い方は想定していなかった、もしくはブロックする仕組みがなかったからです。
のび太の件を参考に、より良いサービスとなるよう、サービスを改善することになるでしょう。
つまり、のび太は、社会的弱者が、公共サービスに対して、利用できないならアシストし(ドラえもんがひみつ道具の説明をする)、分かったら使ってもらい、もし悪用出来てしまうようならサービス自身を改善する、そのきっかけをのび太から盛らう、と捉えられると思いました。
今まで役立たず(どんどん酷い言い方に、、、)ののび太が、別な方面から見ると、新サービスを世の中に広める際に問題点を指摘してくれるありがたい存在であり、問題を解決することで、のび太自身の成長にも繋がるのでは、と思われました。
むしろ、問題をいつも発生させるのび太は、万能と思えるサービスの弱点をいち早く指摘できるため、「有能」なのかもしれません。
プログラムのシステム構築の世界では、作ったあと、テストをしなければなりません。
その際、通常考えられている機能の使い方だけではなく考えもつかなかったような特殊な使い方に対しても問題なく動かなければなりません。月が1から12の数字だけ入ると思っていたら特殊な方法で文字を入れられたらプログラムが動かなくなる、となると、入力した人を責めるのではなく、そのようなプログラムを書いた人です。ちゃんと1から12までを受付させ、それ以外を無効な値としてエラーにしていなかったのが悪い。
ドラえもんの世界でも、のび太がやり放題する話がありますが、すぐ思いつくストーリは、何と言っても「オールマイティーパス」です。
ドラえもんが、然りに悔しがる。
オールマイティーパスの有効期限がなんと今日!
オールマイティーパスを提示すればら、どんなところでも入っていける。
そう、どんなところでも、です。
ドラえもんのすきをつきオールマイティーをゲットし(犯罪です)
最初は近場の家や店で済ませていたものの、どんどんエスカレートし、最終的には、憧れのアイドル、星野スミレの自宅まで入り込む。
もう完全に犯罪です
しかし、アイドルと仲良くなりたい、自宅まで入りたい、という心は多くの人が持っているもの、、、?
みんなの欲求を体現してくれた、ともとらえられます。
しかし、「相手にもプライバシーがある」「もしうまくオールマイティーパスが効かなかったら不安」様々な思いがでるはず。
それをのび太は実際にやってしまった。どうなるのか?
原作では、星野スミレ宅訪問中に、オールマイティーパスの有効期限が切れ、我に返った星野スミレがのび太を追い出します。
昔の私なら、
「悪ふざけにも度が過ぎる。せっかくのひみつ道具を、、、自分の私利私欲で使う愚か者が!」
と考えていたでしょう。
しかし今は、
「もともとドラえもんの過失とはいえ、他人の手に渡って使えてしまうのは問題だ。一応オールマイティーパスには有効期限があり、たとえ犯罪者が使ったとしても、永久に使えるわけではない。そこはいいが、今回ののび太のように、意図しない他人に渡ったとき、それを防ぐ手段も用意しないといけない。オールマイティーパスに指紋認証機能をもたせればいいか?本人の指紋で触れながら使わないといけない」
とか。
「いや、そもそもドラえもんのものだ。指紋はない。それに、仮に機械とオールマイティーパスが認証できたとしても、所有者であるドラえもん自体が悪いことをやってしまう可能性も残っている。それは防げない。とすると、オールマイティーパスの利用範囲を狭めて、悪用を防ぐか。でも、そうなると「オールマイティー」ではなくなる、、、どうするか、、、」
となりました。
のび太が色々やってくれたお陰で、ひみつ道具の改善点我見えてきたのです。
とりあえず、オールマイティーパスには、本人認証機能を付けたい。
また、人間でもロボットでも使えるような認識方法を考えたい。
どんどんアイデアは膨らみます。
そんな感じで、オードリー氏の本が、途中からドラえもんとのび太の話になってしまいました。
でも、昔から気になっていたのび太の考え方が、前向きにとらえることができたので
これは大きな収穫でした。
もし、まだご覧になっていない方で、のび太が嫌いな方(笑)は
是非見てほしいと思います。